睡眠トラッキング


体にとって睡眠の重要性は言い尽くせませんが、日頃から運動をする人は特にそうでしょう。 睡眠中は代謝産物が効率よく体外に排出され、筋肉の回復も睡眠中に行われます。


体の修復の70%は睡眠中に行われるという研究結果があり、睡眠時間が短くなればリカバリー効果が落ちるのは当然で、睡眠時間を適切に伸ばすことでパフォーマンスの向上も期待できます。


PART.1 睡眠の段階区分

睡眠はノンレム睡眠(NREM)とレム睡眠(REM)に分けられ、1回の睡眠サイクルで交互に繰り返されます。 通常、成人の場合1回の睡眠周サイクルは約90~100分で、一晩に4~5回の睡眠サイクルを繰り返します。


ノンレム睡眠(NREM) 眠り始め:この段階では呼吸、心拍、眼球運動がすべて緩やかになり始め、筋肉が緩み始める前段階として体が時折痙攣するようになリます。 また、この段階では脳波も遅くなり始めます。


浅い眠りの段階:睡眠の中で最も長い段階の1つです。 この段階では心拍数や体温が低下し、体がわずかな動きをします。


深い眠りの段階:「黄金の睡眠時間」とも呼ばれ、全睡眠時間の4分の1を占めるのが理想とされています。 筋肉は緩み身体はほとんど動かず、呼吸と心拍はゆっくりと安定して心拍数は安静時より20~30%程度低くなります。 そして、この段階で体の修復が行われます。

レム睡眠(REM)

眼球が不随意かつ高速に動くことから名づけられました。 この段階では脳が活性化して脳波が覚醒時と同様になって夢を見やすくなる一方、筋肉が大きく緩みます。そして、心拍数は増加して血圧は上昇し、呼吸は速くなります。 COROSは現在、この睡眠段階を当面は深い睡眠と認識して、将来的にはより正確な睡眠ゾーンを区分できるように再プログラムする予定です。


各段階睡眠時間の割合

理想的には浅い睡眠が50~60%、深い睡眠が10~25%、レム睡眠が20~25%を占めるとよいでしょう。


睡眠中も無意識に短時間だけ目が覚めることがあり、一般的な成人は一晩に10~30回短時間覚醒を起こしますが、それは全体の睡眠時間の5%未満です。1回の覚醒は非常に短く、通常2~3分以内なので覚醒したことを思い出せないかもしれません。



PART.2 ウォッチはどうやって睡眠を検知しているのか?

原理

COROSのウォッチには睡眠トラッキング機能があり、前述のように深い眠り、浅い眠り、目覚めのモニタリングだけでなく、各睡眠の段階によって体の動きや心拍数に違いがあることから、手の動きや光電式心拍数をもとに睡眠心拍数を記録しています。

注意点

睡眠の質を正確に測定するには脳波のデータが必要なため、ウォッチが提供する睡眠データは実際の睡眠状況と完全に一致するものではありません。


PART.3 睡眠モニタリングの精度を上げるには?

睡眠開始時刻を正しく設定する:COROSのウォッチは、あなたが睡眠に入るために設定した時刻よりも1時間早く睡眠を検出し始めます。 より良い睡眠を記録するために睡眠開始時刻は、その人の普段の睡眠時間より1~2時間早く設定することをオススメします。

(COROSアプリ → プロフィール → 睡眠トラッキング → 開始時間で設定)


定時就寝:設定した就寝時間を遵守する必要があります。例えば睡眠開始時間を23:00に設定する場合、就寝時間になっても就寝せずスマートフォンを触ったりしていると、この時に明らかな動作がなく、かつ心拍数が下がっている場合はデバイスの測定や識別にも影響を及ぼします。


正しく装着する:光電センサーが心拍数を検知して睡眠状態をモニターできるように、ウォッチを手首に正しく装着してください。 ウォッチが緩んでいたり腕を頻繁に動かすと、睡眠トラッキングに影響が出ます。



(ウォッチは正しく装着してブレないようにしましょう)


PART.4 運動の目安となる睡眠時心拍数の役割

過労と睡眠時心拍数

オーバートレーニングが睡眠時心拍数に影響を与える可能性があることが研究で示されています。 ある実験では7人の被験者が2週間、通常のトレーニング強度を上げたところ、著しい疲労感、パフォーマンスの低下、睡眠中の平均心拍数が49bpmから54bpmに増加したことが確認されました。


そのため、睡眠トラッキングで平均心拍数が著しい上昇の兆候が見られた場合、トレーニング量が多すぎるため、早急に調整する必要があると考えられます。



運動と睡眠の心拍数カーブ

理想的な睡眠時の心拍数は、おおよそ「U字型」の傾向を示します(下図参照)。 眠り始めから体はリラックスし始めて心拍数は変動し、眠りの途中で最も低い値まで下がります。 睡眠中の短い急上昇・急下降はレム睡眠と呼ばれます。 この睡眠パターンは、身体の状態が良く、睡眠中に十分な休息と回復ができることを意味します。


一方、睡眠時心拍数が全体として変動・低下し、起床間際に最低値になる場合は、睡眠不足を意味することがあります。 その理由のひとつは睡眠前に運動を行ったことが考えられます。 この場合、ランニングなどの夜間のトレーニングを1〜2時間早めるのが適切かもしれません。


スポーツをする人にとって、質の高い睡眠は身体の疲労を回復させ、その後の体の動きを整えます。 そのため、睡眠の質には特に気を配って睡眠に問題がある場合は自分で調整したり、専門家に相談したりすることが大切です。 いい夢を見ましょう!