HRV(ヘルススナップショット)

HRVとは?

HRV(心拍変動)とは、連続した心拍の鼓動間のばらつきを測定するものです。

例えば、あなたの心臓が1分間に60回鼓動しているとすると、実際に心臓が正確に1秒ごとに鼓動しているわけではありません。心拍の間に1.2秒、0.8秒、1.1秒などの微妙な間隔があるかもしれません。実際、HRVに関して心臓の個々の鼓動の間が大きい(安静時心拍数が低い)ほど、あなたの体は十分に回復している可能性が高くなります。


多くの人々が HRVの測定機器を利用できるようになった現在、HRVは自律神経系の状態を評価するための正確で実用的な測定手段であることが幾度となく証明されています。自律神経系は交感神経系と副交感神経系の2つから成り立っています。一般的に交感神経系は「興奮状態にある“オン”の状態」、副交感神経系は「休息と消化促進の“オフ”の状態」として知られています。この「オンとオフ」の2つの自律神経系の働きは互いに影響し合い、それぞれの働きによって全体的な影響が異なります。



HRVの測定方法

HRV測定対応のCOROSウォッチは rMSSD法を適用して正確なHRV測定を行い、独自のHRVインデックスアルゴリズムを通じて、各ユーザーに個別化されれた指数を提供し、外的要因に対する現状の身体の反応を示します。



HRV指数を測定する

HRVテスト機能を使ってHRV指数を測定します。ウォッチのバックキーを長押ししてツールボックスで「ヘルススナップショット」機能を選択し、画面の指示に従って指数を測定してください。 測定中の30 秒間はずっと座ったままで、体もウォッチも動かさず姿勢を真っ直ぐ保ち、可能な限り話したり動いたりしないようにしてください。


さらに、測定の正確性保つためのヒントは以下です。

1. HRV測定は、朝の4時から10時の間、タイミングは起床後に行うことをオススメします。

2. 起床後、測定する前に5分間は座った状態で安静にしてください。

3. HRVは影響を受けやすい指数であり、例えばメールの返信、朝食、歯磨きなど日常的な細かいタスクに影響を受ける可能性があります。最も正確な測定値を得るためには、このようなタスクをこなす前、例えば起床時に行うことを心がけてください。

4. 外的要因による「偏り」を軽減するために測定は毎日同じ時刻かその前後に、座位など同じ姿勢で行うようにしてください。測定の一貫性を確保することで最も高い精度を保つことができます。


HRVは生理的なリズムの影響を受けるので一日中大きく変動します。そのため、数値を比較していく目的ではHRV測定は毎日同じ時間や、それに近い時間に行うことが重要です。異なる時間帯や、異なる活動後にHRV測定を随時行っても、それらの比較で有益なフィードバックが得られません。測定条件にバラつきのないデータこそ価値があります。



HRV指数の説明

HRV指数は1から100までの値で、自律神経系に対する身体的および精神的ストレスの現在の状態を示しています。この指数は、直近7日間のHRV測定結果を含む独自の評価モデルです。 HRV指数の数値が高いほど、ユーザーの身体と神経系がよりリラックスしているか、回復ができているということを示します。以下は、HRV指数の評価内容です:

81-100(やや高い):ベストパフォーマンスの準備ができています。

51-80(標準範囲):ハードなトレーニングの準備ができています。

21-50(やや低い):適度なトレーニングの準備ができています。

1-20(非常に低い):運動量を減らして回復に重点を置いてください。


HRVテスト機能を使用する最初の3日間は、COROSウォッチから提供されるHRV指数は、ユーザーの平均値に基づいています。3日目以降は、HRV指数はユーザーの数値に個別化されカスタマイズされます。HRV測定をより多く記録するほどHRV指数はより正確になり、各ユーザーに対して個別化されます。


HRV指数の適用

HRVの測定は簡単ですが、データを分析してその内容を実際のトレーニングに落とし込むことは簡単ではありません。HRVのデータは通常、フィットネスやトレーニングの観点で役立ちますが、HRVは多くの外部要因に影響を受けます。各ユーザーのHRV測定に影響を与えるライフスタイル、遺伝、トレーニングの要素は多種多様ですが、最も一般的な要因として身体の運動、筋肉へのストレス、精神的ストレス、食事、カフェイン摂取、病気、薬の使用などがあります。


一般的に、高いHRV指数は副交感神経系がより活発であることを意味し、その逆も同様です。副交感神経系がより活発だと体がリラックス状態にあることを示しています。交感神経系がより活発だと身体は緊張、興奮、または疲労状態にあることを示しています。


このHRV指数は、1日だけの数値だけでなく中長期的な推移を観察することに大きな意味があります。例えば、ある日のHRV指数が1〜20の低い数値だったとしても、必ずしもその日を休息日に充てる必要はありません。しかし、HRV指数が数日間にわたって低い数値を記録している場合、オーバートレーニングや高負荷トレーニング、レースなどの代償かもしれません。逆に、HRV指数が数日間にわたって高い数値を記録している場合、身体は回復傾向にあり、フィットネスや全体的な健康状態が改善していることを示す可能性があります。

正確なHRV指数を維持する

HRV指数は人によって大きな違いがあります。毎朝より多くのHRV測定を行うことで、COROSウォッチはユーザーごとに個別化された正確なHRV指数/評価モデルを生成します。COROSウォッチは、初期のうちは平均値に基づいてHRV指数を決定しまが、HRV測定を3日間行った後はHRV指数は個別化されていきます。そのため、ウォッチの使いまわしなど、他の人がウォッチを使う可能性がある場合、評価モデルに影響を及ぼしHRV指数が不安定な状態になります。あくまでこの機能はウォッチを1人で使い続ける状況で意味を持ちます。


HRV指数が変化する要因は?

HRVは個人ごとの参考数値であり、HRV指数の増減の要因は個々人の生活環境などの要因によって大きく異なる場合があります。とはいえ、一般的には以下のような方法でHRV指数の改善を試すことができます。

こまめな水分補給、質の高い睡眠、十分な回復時間、食事内容の改善、サウナ、ストレッチ、アイスバス、冷水シャワー、瞑想、呼吸法、ブルーライトの遮断、睡眠用のアイマスクなどの改善方法があります。

HRV指数の低下原因として最もよくあるのは、アルコールの摂取、不規則な睡眠スケジュール、仕事/生活のストレス、高いトレーニング負荷、エネルギー代謝システムの変更(有酸素運動から無酸素運動、またはその逆)などがあります。HRV指数を改善するには、自分自身の身体の状態に「耳を傾ける」ことが最も重要です。全ての外部要因を考慮して、自分にとって最も役立つ方法を取り入れることを検討してみてください。


トレーニングでのHRV指数の活用

HRV指数はフィットネスレベルを評価、確認する際にトレーニング負荷という指標以外の補足的なリカバリー指標として活用できます。高いHRV指数は通常、十分な回復と「トレーニングに対する準備」の兆候です。もし身体が完全に回復していない時期でも、HRV指数がユーザーの平均値に近づいていれば、身体の回復のために適度に調整できている良い兆候となるでしょう。さらに、運動後にHRVが通常レベルに早く戻るほど、身体がうまく回復している兆候ともいえます。 HRV指数の傾向はトレーニングと身体へのストレス適応に関して参考となる貴重なデータです。ただし、HRV指数はあくまで1つの指標にすぎないので、毎日のトレーニング内容を決定、調整、修正する際のメインの指標としてでなく、他のデータと照らし合わせて活用していきましょう。


なぜHRV指数が高いのに、疲れを感じる時があるのか?

HRV指数が通常レベルに戻ると、通常は神経系が回復してリラックスしていることを意味します。しかし、HRV指数が高くても体が非常に疲れている場合、過剰なトレーニングやレースなどの疲労で身体が疲れ果てていて、副交感神経のスイッチに切り替える必要があるため、疲労から迅速に回復するためのリカバリー機能が働いている可能性があります。


なぜECGの波形が反転するのか?

ウォッチの設定で指定した手首(右か左)に着用してください。例えば、右手首への装着を設定しているのに、HRV測定中に左手首にウォッチを装着していると、ECG(心電図)の波形が反転または上下逆さまに表示されます。波形の反転は指数や測定に影響を与えませんが、あくまでも設定で指定している手首にウオッチを装着してください。


HRV指数の免責事項

HRV測定によって得られたHRV指数はあくまでも参考値であり、医療的な詳細の状態を診断することはできません。