トレーニング負荷評価システム
1回やセッションや、一定期間に行ったトレーニング量をうまく把握できるかは、多くのランナーにとっての興味のあることでしょう。1回のセッションにおける心拍数やペースの推移に着目することは、トレーニング強度のコントロールに有効ですが、心拍数やペースの情報だけでは、トレーニング量の評価や今後のトレーニングプランの作成に役立てることはできません。
トレーニング負荷評価システムはEvoLabの中心的なシステムであり、トレーニング強度、トレーニング時間、疲労度を数値化することでより実践的なピリオダイゼーションとトレーニングの管理を実現することができます。
トレーニング負荷評価システムの由来
これまで、ランナーたちは身体の主観的な感覚と経験をもとトレーニング計画を立てていましたが、この方法は明らかにバイアスがかかりやすいものでした。そこで、スポーツ科学の分野では、トレーニング負荷を定量化する仮説からトレーニングインパルス(Training Impulse:TRIMP)という概念が現れました。
トレーニングインパルスとは、シンプルにいえばトレーニング強度 × トレーニング量を表し、1回の運動で身体にかかるストレスを数値化したものです。数値が大きいほどストレスが大きくなり、理論ごとにトレーニングインパルスの算出方法は異なりますが、ランニングでは通常、心拍数、ペース、タイム、最大心拍数、安静時心拍数などの基本データをもとに算出されます。
トレーニングインパルスの数値からランナーたちがより簡単にトレーニング負荷を把握するために可視化するものです。一定期間に蓄積されたデータの分析によって、直近のトレーニング状況を把握し、その先のトレーニング計画の作成、修正に役立てることができます。
トレーニング負荷指標
EvoLabのトレーニング負荷評価システムは、トレーニングインパルス理論に基づき、トレーニング刺激、ベースフィットネス、疲労具合、7日間の総負荷、4週間の負荷強度分布などの指標をユーザーに提供し、それまでのトレーニング分析ができます。
トレーニング負荷
EvoLabは、ランナーの能力に応じて1回のセッションのトレーニング負荷であるTL(Training Load)の数値を“低い・普通・高い”の3つに分類し、トレーニング負荷の大きさを表示します。
小さい:リカバリーランなど、フィットネスレベルの回復や維持に役立ちます。
普通:テンポ走や閾値走など、フィットネスレベルを向上させることができます。
大きい:高強度インターバルや長時間のLSDなど、フィットネスレベルを大幅に向上させることが期待できます。
EvoLabは一定期間のトレーニングの効果や強度を定量的なデータで可視化することができます。
短期負荷
過去7日間のトレーニング負荷の平均は、短期間のトレーニングの指標としてユーザーの過去7日間のラントレーニングの平均的な強度レベルを反映しています。
ベースフィットネス
過去42日間のトレーニング負荷の平均は、ユーザーの身体が一定期間に許容できるトレーニング強度の平均値を適切に反映しています。 ベースフィットネスの値が高いほどトレーニング負荷の耐性が高いことを示しており、より高強度・高負荷のトレーニングへの準備ができていることを意味しています。
疲労具合
疲労具合とは、トレーニングによる定量的な疲労の数値を示します。ベースフィットネスと短期負荷との関係性から、長時間・短時間のトレーニングに対する身体のトレーニング能力やストレスを考慮しています。 これにより、直近の疲労具合を数値から把握することでオーバートレーニングを防ぎ、その先のトレーニング計画の重要な指標とすることができます。
7日間の負荷
EvoLabは、個人の能力モデルに基づいてユーザーのトレーニング負荷の範囲が適切かどうかを判断し、ウォッチとアプリで表示します。 トレーニング負荷(TL)の直近7日間の数値合計が適正値の範囲に収まるようにすることで、パフォーマンスの維持・向上だけでなく、故障の予防にも繋がります。
4週間の強度分布
直近4週間の低中高強度のトレーニング強度別の分布がウォッチとアプリに表示され、それぞれの強度のトレーニングでのトレーニング負荷の割合を円グラフで可視化し、その後のトレーニング計画の作成、修正に役立ちます。
トレーニング強度の分類
低強度:有酸素閾値強度未満の強度 / 例:ジョグ、LSDなど。
中強度:低強度と無酸素閾値強度の間の強度 / 例:テンポ走、LTインターバルなど。
高強度:無酸素閾値強度やそれ以上の強度 / 例:高強度インターバルなど。
負荷指標
科学的にトレーニングする核心:個人能力により、人体に適切な刺激を与え(トレーニング)、それを合理的な回復時間と合わせて、徐々に自身の運動能力を向上します。刺激負荷が適応負荷より高い且つ負荷疲労を適切な範囲に保つ場合、能力の向上に対するトレーニングの効果があると示します。下図、例:該当ユーザーが半年間、効果的なトレーニングを通じて、適応負荷が徐々に向上し、負荷に耐えられる能力も向上し続けています。
トレーニングの目的とは、各個人が身体に適切なトレーニング刺激を与え、適度なリカバリーとの組み合わせによって、継続的に運動能力を向上させることです。そして、トレーニング行っていくにあたり、トレーニング刺激がベースフィットネスよりも高く、疲労具合が適切な範囲に保たれている場合には、トレーニング効果が期待できるでしょう。以下のグラフでの推移はその典型例ですが、 このユーザーは半年間で効果的なトレーニング刺激を積み重ねたことによってベースフィットネスを向上させていき、より高いトレーニング負荷に耐えられる状態になっていったことがわかります。
また、トレーニング期間の疲労具合の数値を参考にすることで、トレーニングをモニタリングすることもできます。 例えばマラソントレーニングの場合、基礎構築期は適切な数値の範囲(40~59)で疲労具合を推移させ、鍛錬期は徐々にトレーニングの強度と量を漸増させていき、疲労具合を高い数値の範囲で推移させていきます。その後、調整がメインとなるレース間近の期間は、徐々にトレーニングの量や強度を抑えながら疲労具合を低い数値の範囲(20~39)で推移させて高いレベルで競技パフォーマンスを維持できると良いでしょう。
トレーニング負荷に関するデータの計算と智能的な推薦は個人生理指標とトレーニングデータを参考にして提供されます。長期間且つ規律的に使用するにより、関連データの精確性と安定性もより確保できます。ご注意:個体指標には差異があるため、アルゴリズムとモデルも偏差がある可能性があります。ユーザーに対して、自身の体型も重要な参考要素となります。
トレーニング負荷に関するデータの算出と分析は、個人ごとの生理学的な基本プロフィールと直近のトレーニングデータに基づいており、中長期的かつ定期的に使用することで安定し、より正確なものとなります。 ただし、それぞれの指標には個人差があり、EvoLabのトレーニング負荷評価システムのアルゴリズムに可能性もあります。また、ユーザーの体型などもシステムに反映されます。